用語説明

IrDA(赤外線データ通信協会)

InfraRed Data Association

赤外線データ通信協会[IrDA(本部:米国カリフォルニア州)]は赤外線を利用した無線通信(IR通信)の標準化とその普及促進を目的とする業界団体。当初はこの団体の名称であったが,この団体で標準化された赤外線通信規格の名称にも使用されるようになっている。1993年6月の発足以来,標準規格の制定,相互接続実験の実施,普及活動(各種ショーへの出展・他の団体との提携)等を進めてきた。会員企業数は160社を超え,その中の約50社が日本企業である。

http://www.irda.org/

◆ 《IrDA規格(物理層,通信層)》

IrDAの目標は,「機器を向かい合わせるだけでデータ交換ができる」,使い勝手の良い赤外線コードレス通信機能を実現すること,異なるメーカ・異なる種類の情報機器を相互に接続することである。このためIrDAでは,①物理層(1mの距離で9.6 kbit/sから最大4 Mbit/sの通信を小型・低価格・低消費電力のハードウェアで実現),②IrLAP(Infrared Link Access Protocol;信頼性のある通信路を提供),③IrLMP(Infrared Link Management Protocol;通信路の多重化・提供する機能の問い合わせ),④Tiny-TP(Tiny Transport Protocols;フロー制御),⑤IrCOMM(シリアル・パラレルポートエミュレーション)等の標準規格を定めている(図)。これらの規格に基づくIr通信は,パソコン(ノートパソコンの約90%がIr通信機能を標準搭載),プリンタ,電子手帳,IrLANアダプタ(Ir通信とイーサネットLANのゲートウェイ装置),携帯電話,デジタルカメラ等で利用されている。またIrDA標準は日本の電信電話技術委員会(TTC)においても標準規格として採用されている。

◆ 《IrDA-Sir(IrDA-Serial Infrared Physical Layer)》

IrDAの物理層を規定するプロトコル。IrDA規格の物理的な仕様は,当初パソコンや携帯端末のRS232Cポートのコードレス化としてスタートしたため,通信速度も9,600 bit/s~115.2 kbit/sと一般のRS232Cポートで使用される速度が標準として規格されていた。

◆ 《IrDA-FIR(IrDA-Fast Infrared Physical Layer)》

IrDAの物理層を規定するプロトコル。1 Mbit/sや4 Mbit/s通信も可能な高速な標準。より高速性を求められるプリンタポートとしての利用を目的として規格化された。

図_IrDA規格

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