用語説明

VSELP(ベクトル和励振線形予測)

Vector Sum Excited Linear Prediction

モトローラ社で開発されたCELP系音声符号化方式。音声符号帳に用意された雑音源ベクトルの合成で入力信号を再生し,入力信号に最も近い合成音声を与える雑音源ベクトルを選択して,そのインデックスを伝送するCELPの一種。VSELPは,CELPで512あった雑音符号帳を9にし,これに±の符号を与えて和を求めることにより,512通りの候補をつくり出している。そのため,CELPに比べ雑音符号帳用に必要なメモリを少なくできる,符号誤りの影響が少ない,合成フィルタの演算量が少ない,などの長所を有している。一方,量子化雑音が比較的大きいという短所もある。また,音声のピッチ成分の再現性向上に有効なアダプティブコードブックと雑音コードブックを互いに直交化し,独立探索することにより,コードブック探索の演算量を低減させる直交化処理を取り入れている。また,伝送誤りにも強く,日本のディジタル方式自動車電話システムのフルレート音声符号化方式として,また,ヨーロッパのディジタル方式自動車電話システム(GSM:Global System for Mobile communication)のハーフレート音声符号化方式に選定されている。

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