用語説明

サイバースペース

CyberSpace

インターネット上で)多種多様な情報が展開され共有されることにより形成される仮想的なコミュニケーション空間。電話,テレビ会議,電子メールあるいはパソコン通信等の電気通信手段により,遠隔地の相手と物理的に離れた状態でコミュニケーションすることができることから,多くの組織活動が電気通信手段で処理されるようになった。物理的なオフィスを持たず,電気通信手段だけで活動を実施し,組織を運営していく例も多数実現されている。さらに,電話やパソコン通信の発展形として,CG,ビデオ,音声等のマルチメディア処理を適用したコンピュータ通信により,現実には存在しない仮想的な空間を通信網上に生成し,そこに多数の人間が集まってコミュニケーションや情報交換を行うという概念が考えられる。このような通信網とコンピュータを活用して創出される多人数参加形仮想空間は,通信網の上に創造された新たな電子化社会空間ともいえるものであり,サイバースペースと呼ぶ。

「サイバースペース」という名称はウィリアム・ギブソンのSF小説「ニューロマンサー」に描かれた,脳とつながった電子ネットワーク上に生成された仮想的なコミュニケーション空間の概念に由来する。SF小説が想像したサイバースペースでは,電子ネットワークにつながった多数の利用者が仮想空間の中を高速で自由に動き回り,情報を自在に散策し,他人と巡り会い,対話し,自由に人間関係を拡張しながら様々の社会活動を行う。まさに,電子ネットワーク上に多数の人間が集う新たな仮想電子都市や仮想電子オフィスを創造する。

人間集団の協同活動環境の進化という視点から見ると,サイバースペースは情報交換やコミュニケーション活動の支援形態として,①物理的距離に依存せず遠隔地の人間同士でも同一空間での共存と同様の近接性を実現,②物理空間以上に融通性が高く,効率的で強化されたコミュニケーション支援機能を実現,に大きな意義があると考えられる。

サイバースペースでは,利用者全員が仮想空間に共存し,共有された情報空間の中を各人が自由に動き回り,他者の気配の知覚,他者と出会う機会の生成が支援されることにより,計画型,偶然型,共存型の情報活動のモードを切れ目なく実現することをねらいとしている。情報や対人コミュニケーションの出会いの機会や情報共有感を実空間以上に強化できれば,集団的な人間活動においては物理空間での共存以上の効用を期待できる。