用語説明

シスートランス変換

外部刺激による異性体分子間の構造変化,すなわち,シス型とトランス型との間の変換をシスートランス変換という。分子は分子式が同じでも,構成原子の並び順序や原子団の立体的な配置などの構造が異なると,異なった物理的化学的性質を示す。例えば,マレイン酸(シス型)とフマル酸(トランス型)は同じ分子式で表されるが,その結晶も融点も沸点も,さらに水への溶け方も異なる。こういう分子同士を異性体と呼ぶ。眼の中のレチナール分子は光刺激でシスートランス変換を起こして,神経に信号を送る。レチナールという分子の光刺激によるシスートランス変換は,眼の視覚作用に重要な働きをしている。このように,自然界ではシスートランス変換は身近な現象である。