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1月号 2024 Vol. 22 No. 1

English

Front-line Researchers

■ 概要
私たちの何気ない日常の動作においても、伸長反射に代表されるように、無意識の脳神経系の情報処理プロセスが関与して巧みな運動制御が行われているものが多くあります。このような無意識で行われる感覚-運動系には比較的原始的な神経システムが関与していると思われるかもしれませんが、高次の視覚情報処理が行われた信号をトリガーとして反射的応答が発現するものもあります。その一例である、視覚運動から短潜時で腕応答が生成されるメカニズムに関して、仮説検証により世界で初めてメカニズムを明らかにした、NTTコミュニケーション科学基礎研究所 五味裕章上席特別研究員に、神経反射による腕運動とそのときの脳内感覚運動情報処理の関係、およびそのメカニズム、楽しく研究を進める思いと工夫を伺いました。

Rising Researchers

■ 概要
従来のコミュニケーションでは、多少の行き違い(ミスコミュニケーション)や対話として成立しないこと(ディスコミュニケーション)が発生し、言語表現によって情報を100%相手に伝えることは難しいとされていました。そこで近年では、言語を介さず脳内情報を直接相手に伝えることで情報を正確に伝達し、相互理解を深めるための取り組みが行われてきています。この研究が進むことで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の方の脳波計測による表情生成や、生成AI(人工知能)に正しく意図を伝えて誰でも生成AIのメリットを享受できる世の中などが実現されると期待が高まっています。今回は「感性コミュニケーションの実現に向けた脳科学応用技術」の研究に取り組む、志水信哉特別研究員にお話を聞きました。

Feature Articles: International Standardization Trends

■ 概要
本稿では特集記事の導入として、国際標準化について、その歴史的な背景や経済的な利益について、また昨今の国際標準化を取り巻く動向やNTTグループの取り組みの全体概要について紹介します。2023年1月より尾上誠蔵氏が、ITU-T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)のトップ〔TSB(Telecommunication Standardization Bureau)局長〕に就任され、G7デジタル・技術大臣会合の閣僚宣言においても国際標準化の協力体制がうたわれるなど、国際標準化にかかわる気運がこれまでにないレベルで高まっており、この機会に最新動向やNTTグループの取り組みについて紹介します。
■ 概要
近年、クラウドコンピューティング、第5世代移動通信、遠隔医療、高精細映像伝送などの多様なサービスの進展と固定網トラフィックの増大に対応するため、国際標準化団体やフォーラム団体により固定伝送網および光部品の仕様拡充や相互接続性確保に向けた標準化活動が行われています。これらのうちITU-T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)、IEC(International Electrotechnical Commission)、BBF(Broadband Forum)、Open ROADMMSA(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer Multi-Source Agreement)におけるNTTの活動の一例を、本稿で紹介します。
■ 概要
モバイル通信、衛星通信、無線LAN、固定無線など、無線通信は通信ネットワークで大きな役割を果たしています。国際標準化組織の1つであるITU-R(International Telecommunication Union-Radiocommunication Sector)では、2023年11月に開催されるWRC-23(2023 World Radiocommunication Conference)に向け、Beyond 5G(第5世代移動通信システム)や6G(第6世代移動通信システム)を見据えたものだけでなく、さまざまな検討、議論が行われてきました。また、民間標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)においても、5Gのさらなる進化に向け、現在、Release 18以降の仕様を5G-Advancedとして検討開始しています。IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)配下のSA(Standard Association)の中の作業部会であるIEEE 802.11部会では次世代無線LANの検討もされています。本稿では、これらに加え、衛星通信、固定無線、電波伝搬の標準化についてNTTグループの活動状況を紹介します。
■ 概要
NTTグループではサステナブルで安定したICTサービスを提供するために、アプリケーションサービス品質に関する指標の標準化、ネットワークサービスの促進に向けた活動、電磁妨害波や雷サージから通信設備を防護するとともに、ICTによる気候変動への影響評価や持続的な発展が可能な循環型経済の問題に取り組んでいます。本稿では各分野での活動と標準化動向について紹介します。
■ 概要
本稿では、マルチメディア符号化・伝送分野のISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission) JTC(Joint Technical Committee) 1/SC(Subcommittee) 29、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)SG(Study Group)16、セキュリティ分野のISO/IEC JTC 1/SC27とITU-T SG17における標準化動向を解説します。SC29とSG16はマルチメディアの符号化や伝送に関する標準化を担当し、エンタテインメントやビジネスコミュニケーションの未来をかたちづくっています。一方、SC27とSG17は、情報セキュリティと通信セキュリティにおける標準化を担当し、デジタル社会の信頼性とプライバシ保護を強化しています。

Feature Articles: Efforts toward the Early Deployment of IOWN

■ 概要
NTT IOWN総合イノベーションセンタは、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の早期具現をめざして発足した組織であり、NTT研究所が創出するIOWN各種技術の実用化と、それらを核として市場ニーズや社会の要請にこたえられるように仕立て上げた、IOWNサービス・プロダクトの提供に取り組んでいます。本稿では、IOWNを幅広く普及展開させ、持続的成長に向けて社会の変革に寄与することをめざすNTT IOWN総合イノベーションセンタの活動について紹介します。
■ 概要
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の基盤となるオールフォトニクス・ネットワーク(APN)は従来ネットワークと比較し高速大容量、低遅延、低消費電力という特徴を有しており、これらを最大限に活かしたサービスの早期提供、普及拡大をめざしています。また、これらの性能を備えた高品質なサービスを運用するためには、コントローラの役割の重要性が従来ネットワーク以上に増大しています。本稿では、APNコントローラ技術の主軸となるAPN制御機能およびAPN収集・分析機能、またIOWNサービスを実現するための付加価値機能について解説します。
■ 概要
データセントリック基盤は、広域に散在するデータを高効率に処理するためのICT基盤であり、データ駆動型社会における大規模サイバーフィジカルシステム(CPS)での活用が期待されています。本稿では、同基盤のコンセプトである、アクセラレータやオールフォトニクス・ネットワークを効果的に用いたデータ処理パイプラインの提供について概説します。次に、CPSにおける映像解析をユースケースとした、同コンセプトの段階的な実証について紹介します。
■ 概要
本稿では、これまでにNTTデバイスイノベーションセンタで開発を進めてきた、第2・第3世代光電融合デバイスについて紹介します。それぞれの世代のデバイスのめざすアプリケーションおよび技術的な要請について述べるとともに、光電融合デバイスだからこそ得られた利点と、それを実現するための技術的なポイントについて解説します。

Regular Articles

■ 概要
振幅変調(amplitude modulation, AM)は聴覚にとって重要な音の特徴の一つです。人間はかすかなAMを聴き取ることができ、その感度は刺激パラメータによって異なります。聴覚系はなぜこのようなAM感度を示すのか。脳はどのようにAM検出を行っているのか。これらの疑問に答えるため、私たちは計算論的な研究を行いました。人工ニューラルネットワーク(neural network, NN)を音認識で訓練し、AM検出実験を模擬した分析を行いました。その結果、モデルにおいて人間のようなAM検出感度が発現していました。また、このためには、学習に用いる音のAM構造が重要でした。ヒトのようなAM検出閾値を示すNNの層が、聴覚中脳やより高次の脳領域の神経細胞と類似したAM関連特性を示すこともわかりました。これらの結果から、人間のAM感度も聴覚系が音認識に適応してきた結果であるということと、聴覚系はAM検出のために聴覚中脳やより高次の脳領域の神経活動を用いるということが示唆されます。

NTT IOWN Technology Report

■ 概要
NTT研究企画部門では、2019年に始動したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とともに、より人々が豊かに生きていく世界を実現するためのテクノロジーについてまとめた「NTT Technology Report for Smart World」を発表しています。このたび、新たに2023年度版を公開しましたので、本稿では、その概要と更新のポイントについて紹介します。

Special Report

■ 概要
NTT人間情報研究所サイバネティックス研究プロジェクトでは「スポーツアナリストを体験しよう」という研究テーマで高校生を受け入れ、さらに共同研究としてスーパーサイエンスハイスクールの支援に取り組んでいます。本稿では、若手研究者育成に関する地域貢献活動にかかわったNTT研究者と神奈川県立横須賀高等学校の担当教諭へのインタビューを紹介します。

External Awards
外部での受賞

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