用語説明

LCD(液晶表示装置)

Liquid Crystal Device

液晶に電圧を加えると光の偏光の向きが変わる(光の通り方が変わる)性質を利用した表示装置のこと。薄いことや省電力であることからノート型コンピュータなどに採用されている。液晶表示装置には,単純マトリクス型とアクティブマトリクス型の2種類がある。

単純マトリクス型は基板の上に格子状に張り巡らした導線に電圧をかけると導線の交差する部分の画素が光る原理を応用している。導線を組み合わせることで複数の画素を同時に点灯させ,文字や画像をつくり出す。この型はワープロ,パソコン,電卓,時計等,静止画の表示用に使われている。実際の製品には,90度ねじった液晶物質を使ったTN(ツイストネマティック)型が使用されている。このTN型にすると電力消費量が少ないうえ,薄型,軽量,安価になるためLCDの中で最も普及している。ただ,単純マトリクス型では応答速度が遅く,画素を増やすと画質が低下するなどの欠点がある。このため,薄膜トランジスタ方式を採用するアクティブマトリクス型が早晩次世代のLCDの主力になるものとみられる(図)。

◆ 《ツイストネマティック(TN)液晶

ネマティックは分子の方向だけが巨視的に揃う性質を持つ液晶の総称。ツイスト(ねじった)ネマティックは,ネマティック液晶分子の方向(配向)を2枚の基板の間で徐々に90°ねじったもの。LCDで使用され,液晶分子の並び方の違いによる光学特性の差を,偏光板との組合せにより透過光量の差として取り出せるように工夫されている。

◆ 《スーパーツイストネマティック》

ツイストネマティックと似ているが,270度ねじったもの。

◆ 《単純マトリクス形》

ストライプ電極を形成した2枚のガラス基板で液晶を挟んだ構造のディスプレイ。ストライプ電極は互いに直交するように配置してあり,それぞれの交点が一画素を形成する。駆動は,横電極に電圧パルスを順次印加走査し,縦電極に信号パルスを印加して交点の画素をON/OFFして表示を行う時分割駆動方式である。走査線数が増えると,コントラスト,明るさが低下する。

◆ 《アクティブマトリクス形》

マトリクス状に配列した各画素に1つずつ,トランジスタやダイオード等のアクティブ素子とコンデンサを形成する。表示画素の選択は,このアクティブ素子(例えばTFT)を横方向のゲート電極配線でスイッチングさせ,縦方向のソース電極配線による書込みによって行う。選択された画素は,次の選択まで信号をコンデンサに保持しているので,走査線の数が増えても画質が低下することはない。通常の液晶パネルに比較して,コントラストが高く,動画の残像が残らない一方,構造が複雑化するため,高い技術が必要となる。

◆ 《プラズマアドレス》

LCDの一種。ガス放電のオンオフをTFT(Thin Film Transistor)と等価なスイッチング作用として用いる。TFT作製での微細加工が不要であるため,大面積化しやすい。

◆ 《バックライト》

液晶パネルの裏面に配置されるLCDの光源。蛍光灯と導光板を用いた構成が現在の主流となっている。

図_液晶表示の仕組み

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