用語説明

動き補償

動画像符号化において,時間方向の冗長度を削減する方式。動きの比較的少ない映像の場合はそれぞれのフレームのほとんどが同じで,ある部分のみが異なっているということになる。そこで1つ前のフレームと異なっている部分のみを伝送するとともに,動きのある部分についても動きの成分を伝送する。具体的には,単純にフレーム間の差分をとるのではなく,ブロック単位に動き量(動きベクトル)を検出し,対応するブロック間で差分をとることにより高い圧縮効率を実現する。

画像通信は周波数成分に変換すると低周波部分に集中することが知られている。この特性を利用し,低周波成分には多くのビットを,そうでない部分には少ないビットを割り当てる手法により,効率の良い情報圧縮を行える(空間冗長度削除)。動画像符号化ではさらに良い圧縮を行うためオリジナルの画像信号ではなく,動き補償により求めた,電力が非常に小さい予測差信号(時間冗長度削除)に,空間冗長度削除処理を組み合わせている。

小ブロックに分割された入力フレーム信号B(i,j)と,1フレーム前の小ブロックBユ(i,j)を求め,予測誤差e(i,j)=B(i,j)-Bユ(i,j)を求めること。e(i,j)はデータ圧縮しやすい状態に変換する離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)部に伝達される。