用語説明

エレクトラム・サイバー・ソサイエティ(ECS)

Electrum Cyber Socie-ty

過去の産業革命は,蒸気機関の導入等の技術変革がもたらした鉄道・海運等,運輸流通の変革や生産能力の増大を基礎にする社会変革であった。しかし,これに対して新たな産業革命は,情報流通の変革や知的処理能力の増大を基礎にする社会変革となる。背景となる技術革新は,進歩目覚ましい通信技術とコンピュータ技術の融合であり,この変革された社会を「エレクトラム・サイバー・ソサイエティ」と呼ぶ。エレクトラムとは,古代ギリシャの貨幣に用いた琥珀金のことであり,擦ると電気を帯びる琥珀(amber)と同色であることから,英国の物理学者W.Gilbertが,「電気」の語源ともなる“electric amber”との命名を行った経緯がある。エレクトラム・サイバー・ソサイエティは,このような歴史的背景を踏まえ,社会経済システムの根幹をなす貨幣が情報や商品と同じように,電子的にネットワーク上を流通する豊かな未来社会を表現したもの。

エレクトラム・サイバー・ソサイエティでは,単なる情報の伝達に加え,ビジネスのサプライヤとユーザがネットワーク上で直接触れ合う「出会い」と「発見」,「感性の伝達」を可能とする超現実的で魅力ある商空間や遊空間を提供する。

この社会では,発達した情報流通システムにより,人は世界中の情報を瞬時に得ることができ,コミュニケーションのみならず,あらゆる社会活動を地球規模で即座に実現できる。

コンセプトは「GIVE」で表される以下の4項目である。

① Global Communication:文化(言語,慣習,宗教等)レベルのコミュニケーション。すでに電話網やインターネット網が地球規模で利用されているが,異文化の人同士が文化の壁を越え,自由に情報流通を実現できるレベルにはない。

② Individual Communication:個々人の要求に合わせた真にパーソナルなコミュニケーション。身体的ハンディを持つ人にとって健常者と変わらぬ自由なコミュニケーションは夢である。さらに,健常者といえども個々の要求や目的に合った情報入手,相手(組織)の探索・コミュニケーションの実現,また自由なコラボレーションは夢である。

③ Virtual Communication:仮想空間コミュニケーション。通信技術とコンピュータ技術の融合で実現される仮想空間では,あふれる情報と高速通信処理により,実社会より格段に効率的で,きめ細かく広範囲な活動が可能になる。一方で,目に見えない仮想空間上のやりとりがゆえの様々な不安感や,顕在化する法律・社会制度の不適合性の早急な解消が望まれる。

④ Emotional Communication:感情や感動までも伝える人にやさしいコミュニケーション。五感通信もこれに含まれる。その場に応じたフレンドリなサービスアクセスを提供する端末,違和感を持たせない通信環境の実現が待たれる。

NTTでは,このエレクトラム・サイバー・ソサイエティの実現に向けて,セイフティ・コマース,仮想現実,エージェント,メガ・ライブラリ等,情報共有や情報流通の仕組みを提供する技術の研究開発を推進している。