用語説明

静止衛星

Geostationary Earth Orbit Satellite

公転周期が地球の自転周期と同じため,地球からは一点に止まっているように見える衛星。赤道上空約3万6,000 kmで,遠心力と重力が地球の自転速度でバランスする円軌道を公転速度約3.1 km/sで東に進んでいる衛星。静止衛星を用いた通信は,カバレッジが広いこと,経済性があること,高品質・広帯域の通信ができること,多元接続ができることなどの特徴がある。その一方,衛星回線1中継について最大280 ms程度の伝搬遅延があること,エコー消去の必要性があること,衛星が日食の影響を受けることなどの問題もある。

◆ 《非静止衛星》

静止衛星と異なり,地上から見ると常に移動しているように見える衛星。現在,衛星による通信は静止衛星がほとんどだが,静止衛星による通信には,伝搬遅延が大きい,受信電力が微弱になるという欠点があり,この欠点を克服し,小型の携帯電話端末でサービスが行えるようにするために,周回高度が1,000 km前後の低軌道周回衛星(LEO:Low Earth Orbit)や周回高度が10,000 km前後の中軌道周回衛星(MEO:Medium Earth Orbit)等を用いた衛星通信システムが提案されている。LEO衛星を用いた移動体衛星通信システムとしては,イリジウムあるいはグローバルスター等がある。LEOは周回軌道が低いため,小型のロケットを使って経済的に打ち上げができる反面,全世界的にサービスを行うには多数の衛星が必要になる。