用語説明

ビーム

ビームとは電波の束。シングルビームは,衛星通信のサービスエリアを1つのビームで覆うもの。マルチビームは,複数のビームでサービスエリアを覆うもの。マルチビームでは,ビームを絞ることにより地上で受信する電波を強めることができるため,地球局アンテナの小型化や伝送容量の増加が可能という特長がある。電波のエネルギーをサービスエリアに合わせることを成形という。成形ビームとは,衛星から放射されるビームの形状をサービスエリアに合わせたビームのこと。衛星のアンテナ形状の修正や,複数の電波放射器を組み合わせることにより実現できる。

◆ 《ビームの形状》

電波を平面あるいは球面に放射したとき,その電界強度が同一となる点を結んでできる形をいう。電界の等高線に相当する。円形のアンテナから放射されたビームの形状は円形になる。

◆ 《マルチビーム衛星通信方式》

衛星通信サービスを行う地域を複数の区域に分割し,各地域にビームを絞った電波を照射することで電波を強くする方式。移動体衛星通信移動局は,従来大型パラボラアンテナと衛星追尾装置を必要とするのに対して,1本の棒状アンテナ(ロッドアンテナ)で衛星通信が可能となり,地球局の小型経済化が利点である。また離れたビームの区域では,同一周波数の電波を繰り返し使うことができ,周波数の有効利用が図れる。