用語説明

ワークフロー管理システム

業務を達成するための業務手続きや,役割の全体,つまり企業の活動そのものをビジネスプロセスといい,ビジネスプロセスの全体あるいは一部を自動化したものをワークフローという。また,オフィスにおける仕事の流れは,そのやり方および進捗具合のどちらも当事者以外には分かりにくい。また,通常仕事は1人でこなすものではなく,複数の人の連携で行われる。自分の手を離れて他の人に仕事が流れていくと,その後の進捗は分からなくなることもある。これを自動化し,誰もが把握しやすくし,効率良く処理できるようにすることをワークフロー管理システムといい,オフィスにおける業務の成果物である帳票,伝票,資料,設計書等の情報を電子化し,それらの「情報の流れ」を自動化し,管理する。

◆ 《プロセス定義データ》

ワークフローによってドキュメント,情報,あるいはタスクが業務手続きに従って,担当者から担当者に流れていく。この業務手続きをきちんと記述したものをプロセス定義データという。

プロセス定義データには,業務の最小単位であるアクティビティごとに,その内容,開始と終了の条件,担当者,関連するアプリケーションプログラムとデータを記述し,アクティビティ間の順序関係を記述する。

アクティビティの“担当者”は文字通り人間の場合もあり,エージェントプログラムやアプリケーションプログラムの場合もあり,このプロセス定義データを作成するのがプロセス定義ツールである。プロセス定義ツールでは,アクティビティ間の順序関係をグラフィカルユーザインタフェースによって容易に記述できるような機能が備わっている。このアクティビティの順序は,組織構造や人員構成に依存して決まる場合が多いため,組織構造や人員構成等を記述したデータがあれば,それを利用することによって,アクティビティの順序を簡単に定義できる。この組織構造や人員構成等を記述したデータを組織/役割データといい,プロセス定義ツールは組織/役割データを参照することにより,プロセス定義データの作成を支援することもある。

◆ 《プロセスインスタンス》

ワークフローエンジンはプロセス定義データを解釈実行するソフトで,ワークフロー制御データはエンジンがプロセス定義データを実行するための制御情報である。エンジンは,同一あるいは異なるプロセス定義データを複数個並列して実行する。この実行している各々をプロセスインスタンスという。プロセスインスタンスの1つのアクティビティにおいて担当者によって処理される具体的な仕事をワークアイテムという。また担当者が実行するアクティビティは1つないし複数のワークアイテムからなる。担当者あるいは同一の役割を担う担当者のグループごとに,現在実行すべきワークアイテムを集めたものをワークリストという。ワークリストには同時進行しているすべてのプロセスインスタンスのワークアイテムが集められている。ワークリストハンドラは,ワークフローエンジンによって維持されているワークリストと担当者の相互作用を管理する。直接,担当者のインタフェースとなるのがユーザインタフェースである。このプロセスインスタンスの進捗状況を監視するのが,モニタリングツールである。