用語説明

IrTran-P(アイアール・トランピー)

Infrared Transfer Picture

1997年IrDAサンフランシスコ総会で国際標準として認定されたデジタルスチルカメラ(以下,デジタルカメラ)の静止画像を赤外線通信で転送する通信方式。赤外線を用いた無線通信(Infrared;Ir通信)を利用してデジタルカメラや携帯型情報端末間,さらにはネットワーク上で静止画像情報を簡単に送受信できる。

従来のIrDA規格(物理層,通信層)に加えて,ファイル形式の画像データを機器間で交換するために,機器間の通信路の接続や切断等の管理を行う手順(Simple Command Execution Protocol:SCEP)と,ファイルの転送を行う際の手順(binary File Transfer Protocol:bFTP)と交換したデータをそれぞれの機器で表示するために必要となるファイルの形式(Uni Picture Format:UPF)について規定している。

またIrTran-Pは,これまでのIrDAで定められた物理層,通信層の規格をそのまま利用しているため,従来のIrDA規格に準拠したインタフェースを有する機器に,簡単に実装することができる。NTTの他,カシオ計算機(株),シャープ(株),ソニー(株),オカヤシステムウェアという日本企業5社で共同開発されたもので,1997年10月のIrDA総会において,国際標準規格として認定されたもの。この標準化により,カメラ-カメラ間の他,パソコン,PDA,プリンタ間の画像送受信がより簡単に行えるようになる。

OSI7層モデルに従い,既存の物理層,通信層の上位に応用層(転送手順と画像フォーマット)を規定している(図)。このうち転送手順としてSCEPとbFTPを画像フォーマットとしてUPFを定義している。

(1) SCEP

通信路の管理とコマンドの状態管理を行うとともに大きなデータに対しては分割・再構成する機能を持っているほか,IrDAの特徴である半2重通信であるためのオーバヘッドを極力少なくするための工夫がされている。

(2) bFTP

SCEPで運ぶコマンドが定義され,PUTおよびQueryが規定されている。

・ PUT:通信の手順として送り手のカメラ側で送信画像を選び,ディジタルイメージデータとして送り出し,受け手のカメラがこれを受信するという通信形態。

・ Query:受け手側の機器の能力を問い合わせる手順。

図_IrTran-Pプロトコル