用語説明

CDMA(符号分割多元接続)

Code Division Multiple Access

複数のユーザが無線通信を行う場合,各ユーザの通信が互いに衝突しないようにする必要があり,CDMAはそのための方法の1つで,ユーザごとに与えられる拡散符号によって無線チャネルを分離する方法。ディジタル化したデータを利用者ごとに異なる数値(コード)で符号化し,あらかじめ伝送のために用意した全周波数帯域を使って,この情報を全周波数に拡散させて乗せて伝送する。利用者ごとにコードが異なるため,受信側は全周波数帯域の電波を受信し,利用者ごとに個々のコードを用いて複合化することで情報を伝送することができる。この方式では,各ユーザは同一無線周波数を使用して同時通信を行うことができる。その際に使用する拡散符号は各ユーザ間で互いに無相関であることが必要となる。特徴としては,通話中の無線ゾーン移行時に複数基地局から同一信号を同時送信することにより,無瞬断での基地局切替(ハンドオーバ)が可能である。本方式は,秘匿性や妨害波の排除能力が着目され,1960年代に米国を中心に軍事通信技術として研究開発が始まり,現在,衛星通信や無線LANでも使用されている。

◆ 《広帯域CDMA(W-CDMA:Wideband-Code Division Multiple Access)》

CDMAを広帯域(Wideband)化した方式。通信品質やキャパシティ,マルチレート[同一システムで複数の異なる伝送速度のサービス(例えば音声をデータ通信)を提供すること]の面でよりマルチメディアに適した方式。すでに韓国・北米等でサービス開始されているIS-95をベースとしたシステム程度の帯域のものをN-CDMA(Narrowband CDMA)といい,それよりも広帯域なシステムをW-CDMAという。

広帯域であるほど伝送速度が高速になり,また移動通信において伝送品質を劣化させる要因となる遅延波を分離することが容易になる。したがってW-CDMAの方がN-CDMAに比べ高速・高品質伝送を実現させやすいことから,マルチメディア伝送に適していると考えられる(表)。

表_W-CDMAとN-CDMAの違い