用語説明

ファイバチャネル

Fibre Channel

ANSI(American National Standards Institute;アメリカ規格協会)X3T11委員会で標準化している高速のデータ通信用技術。高速コンピュータ間やコンピュータと記憶装置間の接続等に使用される高速(133 Mbit/s~4 Gbit/s)かつ長距離伝送(最大10 km)が可能な伝送媒体およびネットワークの規格で,伝送方式(FC-0,1),データ転送機構(FC-1,2,3)および上位プロトコルとの整合方法(FC-4)等を規定したプロトコル体系の総称(図)。コンピュータとその周辺装置間の通信で使用されるSCSI(Small Computer System Interface)プロトコルのデータとコンピュータ間の通信で使用されるIP(Internet Protocol)プロトコルのデータを同一のネットワーク上で転送できることが特徴。さらに,複数の装置間をスイッチで接続するスター型構成や低コスト化に有効なループ型構成をとることができ,フレキシブルなネットワーク構成が可能。

1990年よりANSI(米国)を中心として標準仕様案の作成が進められており,現在までにANSIで仕様書となった項目および検討中の項目を合わせると24項目になる。また1996年3月にこれらのうち10項目がJTC1の検討項目として採用され,国際標準化も本格的に行われている。1997年3月にはこのうち高速化(4 Gbit/s)や転送サービスの拡充,チャネルプロトコル[SBCCS(Single Byte Command Code Set),HIPPI(High Performance Parallel Interface)]の伝送機能,管理やサーバ機能,ループ伝送機構等を規定する6項目がCD(Committee Draft)投票をパスしている。現在ISO(国際標準化機構)において国際標準として審議が進められている。伝送速度は最高4 Gbit/sであり,現在の標準規約として最高速のもの。

高性能なグラフィックコンピュータや大容量記憶装置等,大容量,高速化が進歩する中で周辺装置インタフェースおよびネットワークのボトルネックを軽減するもので,正確にかつ高速にデータを届けることを目的とし,以下の3つのサービスクラスを規定している。

① 帯域およびデータの信頼性を保証したクラス1(コネクションオリエンテッド型)

② 帯域は保証しないがデータの信頼性を保証したクラス2(送達確認付コネクションレス型)

③ 帯域もデータも保証しないクラス3(送達確認のないコネクションレス型)

網トポロジとして,クロスポイントスイッチによるスター形態,ループ,ポイント・ツー・ポイントの3つが定義されている。システムの規模,要求スループットに応じて網トポロジを選択することにより,ネットワークを経済的に構築可能である。ファイバチャネルでは伝送媒体として,光ファイバ,同軸ケーブル,シールド付きより対線が選択され,最大2kbyteの可変長フレームで転送される。

伝送距離は最高10 kmで,従来のSCSI(Small Computer System Interface)等のチャネル接続に比べて長距離接続が可能となり,災害への対応やセキュリティを強化したビルに外部記憶装置を設置する,といったことが可能となる。

主な適用分野は,クラスタコンピューティング,医療システム,映像制作/編集,CAD/CAE,超高速ストレージシステム等があり,特に米国では高性能なグラフィックス用端末とともにハリウッド映画の制作環境に利用されている。

◆ 《FCA(Fiber Channel Association;ファイバチャネル協議会)》

ファイバチャネルの普及,相互接続を目的として発足した米国の業界団体。

図_ファイバチャネルのプロトコル体系